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学長室の窓から
第23回 一片の新聞記事
毎年3月になると、思い出すことがある。それは、今から半世紀以上も昔の話で、筆者が15歳を迎えた春のことであった。念願の高校受験に無事合格して、将来の夢を描き始めていた3月10日、朝日新聞のとある記事に目が釘付けとなった。東京教育大学の福原麟太郎という方が、定年退職にあたっての感懐を述べたものであった。そこには、長年にわたって研究してきた英文学の魅力が満載されていた。筆者は、それ以前から夏目漱石や芥川龍之介の作品に親しんでいたので、彼らの基礎となっているのが英文学であるという知識はあった。加えて、イギリスという国についての言及もあった。幸いにして、英語は得意科目でもあったので、即座に、将来の方向性は定まったのである。やがて、東京教育大学文学部英文科に入学・卒業して、その後身である筑波大学で英文学を講じる教授も務めた。かくて、少年の夢が叶ったという次第である。
2010-3-1 記