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平成21年度入学式の学長式辞

これからの4年間が、最も意義のある期間となりますように!

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本日、ここに、平成21年度の入学式を挙行するにあたり、関係各位を始め、ご臨席を賜りましたご来賓の方々に、先ずは、厚くお礼を申し上げます。
また、保護者の皆様方にも、ご子息・ご息女のご入学を、私どもは、心から歓迎しておりますことを、申し上げておきたいと存じます。

さて、新入生の皆さん、本日は、日本橋学館大学へのご入学、本当におめでとうございます。私は、本学の教職員を代表して、入学生の皆さんに対して、心よりお祝いを申し上げたいと思います。

本学は、平成12年の4月に開学いたしましたので、今回、10回目の記念すべき入学式を迎えたことになります。従いまして、皆さんは、本学の10期生ということになります。本学の前身は、「日本橋女学館短期大学」でしたが、12年の歴史があり、更に遡りますと、「日本橋高等女学校」、そして明治38年に創設された「日本橋女学校」が、その母体となっております。

「日本橋女学校」の初代校長である浦田治平は、創設に当たり、当時の時代風潮を踏まえ、女子の教育には「質実穏健」の気風が大切であると判断して、「質実穏健」を、<建学の精神>と定めたのであります。以来104年の長きにわたって、この言葉は大切に伝えられてきました。

そこで、改めてこの「質実穏健」という言葉を、考えてみますと、まず、初めの「質実」は、「生活態度に、飾り気がなく、真面目なさま」という意味であります。また、「穏健」という言葉は、心が「おだやか」であり、体が「健やか」である、つまり「心身ともに健全である」という意味であります。このことを、「大学の理念」として捉えると、「実学」と「教養」ということになります。すなわち、本学では、究極的に、「実学と教養の融合、そして、その統合」を「教育の理念」として、掲げております。当然のことながら、その理念はカリキュラムの上に反映されており、その具体的な例を挙げれば、本学独自の方法としての「クロスオーバー履修制度」があります。詳しくは、明日から始まる「ガイダンス」において、説明があると思いますので、そちらに譲ることにいたします。いずれにいたしましても、本学に入学された皆さんには、「質実穏健」という言葉を、<建学の精神>として、今後、しっかりと胸に刻んでいただけるように、ここでお願いしておきます。

ところで、本学は、開学して今年で10周年を迎えることを一つの契機とし、更なる発展を目指して、学部の名称を「人文経営学部」から、「リベラルアーツ学部」へと変更いたしました。皆さんは、「リベラルアーツ」の意味を、大学の「入学案内」や「ホームページ」などで、もう既に理解されていることでしょうから、ここでは、詳しく申し上げませんけれども、簡潔に言えば、何よりも「学問の基礎」を大切にするということであります。「リベラル」とは「自由な」、また、「アーツ」とは「学芸」という意味ですが、その起源を遡れば、古代ギリシアにまで至ります。当時の自由市民階級が必要とする知識や技能のことを、「リベラルアーツ」と呼んでいたことに因むわけであります。近年では、アメリカにおいて、「リベラルアーツ・カレッジ」が、大変に高い評価を得ておりますことは、皆様も、ご承知の通りかと思います。

この「リベラルアーツ」という言葉は、一般的には、「総合的教養教育」と訳されておりますが、本学では、これを「基礎教養」という言葉で捉えることにいたしました。と申しますのも、本学は、その「教育目標」として、「基礎を固めて、専門性を身に付けつつ、幅広い教養を培うこと」を掲げております。本学では、何よりも「基礎」を大切にしたいと思っております。その上で、「専門」を学び、最終的には、幅の広い「教養」を身に付けた人間を育成するというのが、本学が目指す「人間教育」であります。

そこで、「リベラルアーツ学部」のキーワードとして、「人間力」を育むことを、基本的な概念として掲げたわけであります。一口に「人間力」と言いましても、漠然としていてよく分らないという声があります。一般的には、「社会で生きる力」と説明されておりますが、それでもまだ漠然としているかも知れません。そもそも、大学というところは、人間が社会に出る最後の教育機関であります。従って、大学では、学生諸君が、社会で必要とする知識や技術を学ぶことが、最大の「目標」であり、また、「課題」でもあります。私は、「人間力」とは、「人間の持つ優れた能力の総体である」と考えております。皆さんは、本学で「リベラルアーツ」の理念の下に、「人間力」をしっかりと身に付けて、社会で立派に活躍できるように、これからの4年間を、学問の研鑽に努めていただきたいと思う次第であります。

最近、大学関係者の間では、「学士課程教育」という言葉が良く使われるようになりました。これまでは、「学士号」という言葉は、単なる「称号」に過ぎませんでしたが、しばらく前に「学位」に昇格いたしました。それに伴い、「学士課程」という言葉が、定着したのであります。その背景には、大学のグローバル化という現象があります。大学も、日本国内ですべてが収まるという時代ではなくなってきているのであります。OECDという「経済協力開発機構」がありますが、そこでは、PISAと呼ばれる「学習到達度調査」が行われており、幾つかの項目で、国際比較がなされておりますことは、皆様、先刻存知のことかと思います。目下は、中学・高校レベルでの調査にとどまっておりますが、いずれは、大学の世界にも及ぶであろうと考えてよいと思われます。国際的な競争にも耐えられるような大学教育でなくてはならない、そういう認識が大学関係者の根底にあって、「学士課程教育」という言葉が飛び交うようになったという次第であります。

「学士課程教育」は、4年間で完結する教育であります。本学には、大学院が併設されておりませんが、「リベラルアーツ教育」は、正に「4年完結教育」でありますから、皆さんには、この4年間で、本学において、幅の広い教養をしっかりと身に付けて、社会で活躍できるような人材として育っていただきたいと思っております。この数年、本学の卒業生は、就職だけではなく、大学院への進学が増えてまいりました。アメリカの優れた「リベラルアーツ・カレッジ」は、就職もさることながら、超一流の大学院への進学実績が売り物になっております。皆さんが、本学において、しっかりとした「基礎教養」を身に付けることができれば、就職という道だけではなく、更に大学院に進学して「専門教育」を深めることも可能であると申し上げておきましょう。

本学は、小規模ではありますが、様々なことが学べる「ミニ総合大学」であります。また、周辺は、緑に囲まれ、静かで、理想的な学習環境の中にあります。どうぞ、伸び伸びと4年間の学生生活を満喫していただきたいと存じます。本日は、折から咲き始めた桜の花が、皆さんを出迎えてくれましたし、私ども教職員も、皆さんを心待ちにしていたところであります。これからの4年間が、皆さん一人ひとりにとって、最も意義のある期間となりますように、そして、本学において、幅広い教養を身に付け、卒業後は、立派な社会人として育っていただけるようにと祈念して、私の「式辞」といたします。